残業を美徳とする時代は終わった今、
求められている人材は
「残業をしてくれる人」ではなく「効率よく仕事ができる人」。
下のグラフは、
管理職に「部下に新入社員時代のうちに身につけてほしい能力」、
新入社員に「社会人1年目で身につけたいスキル」について調査した結果です。
「新入社員はそこまで重視していないものの、
管理職は重要性を強く感じているスキル」NO.1が、
「タイムマネジメント力」なのです。
㈱ラーニングエージェンシー「2020年度新入社員のキャリアに対する意識調査(速報値)」
この記事では、
「タイムマネジメントとは?」から、
タイムマネジメントが上手くいく具体的な方法まで、紹介します。
タイムマネジメントとは
「タイムマネジメント」をそのまま日本語にすると「時間管理」。
管理とは、目的もしくは基準を満たすようにコントロールすること
ですが、「1日24時間」は、増えも減りもせず、コントロールできません。
コントロールできるのは、時間ではなく時間の使い方、
社会人にとっては「仕事の進め方」です。
つまり、タイムマネジメントとは、
「仕事を上手く進めること」と、言い換えることができます。
タイムマネジメントのポイント
仕事中、脳は大量のエネルギーを消費しています。
脳の重さは体重の2%程度ですが、
脳が消費するエネルギーは、毎日の摂取カロリーの20%以上!
どの臓器よりも多くのエネルギーを消費しているのです。
無駄の多い働き方をすると、
脳は疲れ、仕事の効率が下がり、
時間が余計にかかります。
反対に、無駄のない働き方ができれば、
脳は疲れにくく、仕事の効率が上がり、
短時間で多くの成果を上げることができます。
タイムマネジメント力を高める6つのコツと、具体的な方法
「無駄のない方法で仕事を進める」とは、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
簡単に実践できる6つの方法を紹介します。
①いきなり作り込まない→β版
仕事は必ずと言っていいほど、やり直しになります。
上司や依頼主に確認せず、ひたすら提出物を作り込んだ末に
「やり直し」を命じられた時のショックといったら…。
「確認せず作り込みをする」ことに使うエネルギーは、
だいたい無駄です。
そこでおすすめの考え方が、「β版」。
「0秒で動け(伊藤羊一著)」で紹介されていますが、
正式版の手前のβ版を作ることを、常に心掛けます。
例えば資料を依頼された際には、
②β版を作り「確認する」
※品質(Quality)、コスト(Cost)、納期 (Delivery)、リスク(Risk)、セールス(Sales)
全体像を作り、早い段階で確認することで、
やり直しによる無駄な作業を減らすことができます。
「途中段階を報告せずに作り込んでしまう」
「無駄にデータを集めてしまう」
「1つの提出物に時間がかかってしまう」
そんなあなたに効果的なタイムマネジメント術は、
「β版を作る!」です。
②目的をハッキリさせる→Why思考
「いつもやっているから」と、
いきなり仕事に取り掛かるのではなく、
まずは、「何のために、これをやるのか」
例えば、「売上を上げる」「認知度を上げる」「コストを下げる」
といった「目的」を充分に確認します。
急いでいる時ほど、深く考えずさっさと仕事に取り掛かりたくなりますが、
「目的をハッキリさせる」というひと手間には
・作業に行き詰まった時、目的を果たす別の手段を考えることができる
というメリットがあります。
What思考(何をするか)ではなく、Why思考(何のため)から始める。
これを意識することで、効率が上がります。
③「次は何をしよう」と考えない→ToDoリスト
Barbara SahakianとJamie Nicole LaBuzettaの研究によると、
大人は1日に35,000回もの意思決定を行っているとのこと。
意思決定は、脳のエネルギーを大量消費します。
仕事中の、「意思決定の回数を減らす」ことで、
エネルギーの無駄を抑え、仕事が効率化します。
「意思決定の回数を減らす」ために必要なものが、「ToDoリスト」です。
①まず、作業手順を細かく一覧にします。
(記憶を頼りにしていると、漏れが生じるため、全て書き出します。)
②そして、行う順番に並べ替えます。
そうすることで、
仕事中にいちいち「次は何をするんだっけ」と
考えることが無くなり、無駄なエネルギーを使わずに済みます。
細かいゴールをクリアし続けることで、達成感が生まれ、
モチベーションも高まる。という点でもおすすめです!
【おすすめアイテム】
日々のスケジュールを時間帯別に書き込めるので、忙しい方におすすめ。
マーヨレイン・デルハース Things To Do Today 正規販売店
④1つの作業に集中する→シングルタスク
「仕事ができる人」というと、このように↓
複数の仕事を同時にこなす人をイメージするかもしれませんが、
実際のところ、人間が複数の仕事を同時進行することは不可能で、
複数の仕事を頻繁に切り替えて行っているだけだそうです。
マルチタスク(multi tasking)とは、
複数のタスク(仕事)を切り替えて実行することであって、
同時に実行しているわけではないのです。
スタンフォード大学のクリフォード・ナスの研究によると、
たとえば2つの作業をマルチタスキングした場合、
それぞれ50%の処理能力を維持できているわけではなく、
15~20%にまで低下している。
ということが分かりました。
タスクを切り替える度、エネルギーが消費されるため、
マルチタスクはむしろ仕事の効率が下がるのです。
それだけでなく、マルチタスクをする集中力が下がり、
仕事のミスが50%増えるというデータもあります。
反対に、1つのタスクに集中するやり方がシングルタスクです。
タスクの切り替えを最小限に抑えるため、効率が上がります。
例えば、メールは決めた時間にまとめて対応する。
など、同じ作業はまとめて行います。
ステップ③で紹介した「ToDoリスト」を作る際には、
シングルタスクを意識するのがおすすめです。
⑤全てに全力を注がない→パレートの法則
「社内会議資料の見栄えにさえこだわってしまう」
そんなあなたに必要なタイムマネジメントは
「優先順位を付けること」。
おすすめの考え方が「パレートの法則」です。
「80:20の法則」「ばらつきの法則」とも呼ばれる。
「全体の8割は、2割の要素によって生み出されている」という、
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートにより発見された経験則。
つまり、2割のタスクをしっかり行えば、
8割の成果は得られる、ということです。
求められている完成度を把握し、
優先度の高さごとに、ToDoリストは色分けしましょう。
優先度の低いタスクに無駄なエネルギーを注がないことで、
重要なタスクに充分なエネルギーを注ぐ事ができます。
⑥漠然と考えない→フレームワーク
「なんとなく考えても良い案が思い浮かばない。」
そんな時におすすめなのが、思考のフレームワークを使うこと。
フレームワークとは:「枠組み」「骨組み」「構造」
ビジネスにおけるフレームワークとは:
問題を解決したり、戦略を立てたり、状況を把握する際に、
効率的に考え、論理的にまとめ、共有を簡単にするための、思考の枠組みです。
漠然と考えるのではなく、
フレームワークを適切に使うことで、
思考のスピードが上がります。
フレームワークは多くの種類がありますが、
「ピラミッド構造」と「MECE」は
最低限知っておきたい、効率の良い思考のためにおすすめのフレームワークです。
最後に
タイムマネジメント力を上げるコツは、
②目的をハッキリさせる→Why思考
③「次は何をしよう」と考えない→ToDoリスト
④1つの作業に集中する→シングルタスク
⑤全てに全力を注がない→パレートの法則
⑥漠然と考えない→フレームワーク
この6つを心がけることで、
無駄が減り、重要な事に十分なエネルギーを注げるようになり、
作業がスピードアップします。
また、苦手な分野で行き詰まりそうな時は、
早めに「得意な人に教えてもらう」
これも有効なタイムマネジメントです。
時間だけは神様が平等に与えて下さった。
これをいかに有効に使うかはその人の才覚であって、うまく利用した人がこの世の中の成功者なんだ。本田宗一郎